要点
- 部位:牛の横隔膜という筋肉の一部で、分類上は内臓(ホルモン)に含まれる。
- 肉か内臓か:内臓でありながらクセが少なく、見た目も味わいも赤身肉に近い。
- サガリとの違い:ハラミは背中側の薄い部分(1頭から2本)、サガリは肋骨近くの肉厚な部分(1頭から1本)。呼び名は地域で異なる。
- 等級:A5などの等級は枝肉のロース芯断面で判定するため、横隔膜であるハラミには格付けがつかない。
- カロリー:一括りにできず、和牛の脂がのった上質なハラミは必ずしも低カロリーとは限らない。
- 焼き方:表面は香ばしく中はレア〜ミディアム。焼きすぎると硬くなる。
焼肉で必ずと言っていいほど注文される人気部位、ハラミ。やわらかく、あっさりして、いくらでも食べられる——けれど、ハラミが実は「肉(精肉)」ではないことは、意外と知られていません。ハラミとは、牛の横隔膜にある部位。分類上は内臓(ホルモン)でありながら、赤身のような旨さを持つ、少し不思議な部位です。定番なのにどこか例外的なハラミの正体を、選定者の視点で解きほぐします。
ハラミはどこの部位か
ハラミは、肺と腹部を隔てる横隔膜という筋肉の一部です。ロースやバラのような「精肉」ではなく、分類上は内臓肉(ホルモン)に含まれます。それでいて内臓特有のクセは少なく、見た目も味わいも赤身肉に近い——だからこそ「ホルモンが苦手でもハラミは好き」という人が多いのです。よく動く筋肉のため適度な弾力があり、噛むほどに旨味が出ます。
ハラミとサガリの違い——同じ横隔膜の、どこを取るか
ハラミとよく混同されるのがサガリです。どちらも横隔膜の一部ですが、取る位置が違います。
| 名称 | 横隔膜の中の位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハラミ | 背中側の比較的薄い部分 | 脂がのりやすく、やわらかい。1頭から2本 |
| サガリ | 肋骨近くの肉厚な部分 | 赤身に近く力強い旨味。1頭から1本と希少 |
ただし呼び方は地域で異なり、関東では横隔膜全体をまとめて「ハラミ」と呼ぶことも多く、北海道では全体を「サガリ」と呼ぶ地域もあります。呼び名は重なっても、ハラミとサガリは食感も旨味も異なる別物。似ているようで、噛んだときの弾力も脂ののりも違います。近年は日本でもハラミ人気が定着し、上質なハラミを看板にする専門店も増えました。かつては脇役だったこの部位が、いまや焼肉の主役の一つになっています。
日本でハラミの魅力を広めた立役者として知られるのが、東京・三宿の焼肉店 三宿トラジ です。上質なハラミを主役に据えたスタイルが人気を呼び、ハラミという部位そのものの評価を押し上げたと言われます。JAPAN’S BEST WAGYU セレクションにも選出されています。
味・食感の特徴——等級では測れない旨さ
和牛の価値は、長らくA5に代表される「等級」で語られてきました。しかし等級は、枝肉のロース芯の断面で判定されるもの。横隔膜であるハラミには、そもそもA5のような格付けはつきません。ハラミの美味しさは、等級という物差しの外側にあるのです。
味わいは、赤身のような濃い旨味と、内臓ならではのジューシーさをあわせ持ちます。ただ「ハラミ=低カロリーでヘルシー」と一括りにはできません。赤身寄りのハラミは比較的軽い一方、和牛のセレクション級のハラミは脂がしっかりのり、非常にジューシーで食べ応えがあります。この脂は、いわゆるサシ(筋肉内の脂肪交雑=サシの等級評価の対象)とは別物の、部位そのものの脂ののり。だからこそハラミの美味しさは、A5・サシという物差しでは測れないところにあるのです。
ハラミの失敗しない焼き方・食べ方
ハラミの火入れには、少しコツがあります。良い赤身肉ほど軽く焼くのが好まれる一方、ハラミは中が生焼けだと持ち味が出ません。表面はこんがりと香ばしく、中はレア〜ミディアム——しっかり火を入れつつ、入れすぎない。この見極めがハラミの旨さを最大化します。
- 厚みを選ぶ:薄切りより厚切りの方が、ハラミ本来のジューシーさを感じやすい
- 味付けは幅広く合う:塩でシンプルにもいいですが、にんにく醤油、にんにく・生姜、青唐辛子との相性は格別です。ハラミの旨味は薬味に負けません
ハラミの値段・希少性
ハラミは1頭から2本と量が限られ、良質な和牛のハラミは流通量が少なく希少です。かつては安価な部位とされていましたが、人気の高まりとともに価格は上がり、専門店では上質な赤身部位に近い価格帯で提供されることもあります。相場は銘柄や店により変動するため、目安として捉えてください。
よくある質問
Q. ハラミとサガリの違いは?
どちらも横隔膜の一部で、ハラミは背中側の薄い部分、サガリは肋骨近くの肉厚な部分です。サガリの方が希少とされます。
Q. ハラミは肉ですか、内臓ですか?
横隔膜という筋肉で、分類上は内臓(ホルモン)です。ただし味わいは赤身肉に近く、クセが少ないのが特徴です。
Q. ハラミのカロリーは低いですか?
赤身寄りのハラミは比較的軽めですが、和牛の脂がのった上質なハラミはジューシーで食べ応えがあり、必ずしも低カロリーとは限りません。
Q. おすすめの焼き加減は?
表面を香ばしく、中はミディアム程度に。焼きすぎると硬くなります。
上質なハラミが味わえる名店
ハラミは、内臓を扱う目利きと鮮度管理がそのまま味に出る部位です。良い横隔膜を仕入れられるかは、その店の内臓ルートの太さを映します。JAPAN’S BEST WAGYU セレクション に選ばれた店には、赤身から内臓まで一頭を扱いきる名店が多く名を連ねています。
まとめ
ハラミは、等級のつかない横隔膜でありながら、多くの人に愛される部位です。A5やサシだけが和牛の物差しではないことを、ハラミはいちばん身近な形で教えてくれます。他の部位との違いは 和牛の部位ガイド を、脂に頼らない旨さの頂点は シャトーブリアンとは も併せてどうぞ。
編集 金子祐生(共同運営・編集長)
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